あなたと私

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読書メモ: すいかの匂い

すいかの匂い (新潮文庫)

すいかの匂い (新潮文庫)

前回の記事の続きになっちゃうけど、フランス語ってオシャレじゃない?
単語を構成するアルファベットの並びが芸術的。éとかçみたいに文字に付くアクセント記号とかも、アクセサリーみたいで素敵。だからフランス語の文章って、装飾とか背景にぴったりだと思う。
発音は潰れた紙みたいにくしゃくしゃなのに……笑
ちなみに一番好きな組み合わせは"que"

あ、当方フランス語は全くもって理解できません。

そんなことはさておき、江國香織童貞を20年も生きてきてようやく卒業。

今は冬なのに、読んだのは夏が舞台の短編集「すいかの匂い」。
こういうことしちゃうあたり、江國香織さんが好きそうなタイプのキャラじゃない?
"私は季節感のあるものが嫌いだ"
なんて言っちゃって。

どの物語の主人公も、自分の世界を俯瞰的に捉えている。今風に言えば、尖がってるタイプ。

そんな主人公たちが、ある夏の日に出会う人々は、みんなどこか謎めいていて、秘密がある。そして、必ず目の前から去っていく。秘密は明かされないまま。その潔さは死別と似ていて、怪談めいた風合いを感じさせる。

そして江國香織さんは、五感を、さらっと丁寧に表現する。小難しい、修飾語を散りばめた文はなく、どれも水や白い紙のようにさらっとしている。
それでいて、読者の記憶を呼び覚ますような、感覚を共鳴させるような、文体。
フランス語に通ずるような仮名文字と漢字の妙な使い分け。

夏の風物詩である祭だとか七夕だとかは一切出てこないのに、そこには確かに夏がある。夏に刺激された五感がすっきりと表現されてある。

この感覚、知ってる。分かる。あるある。
無駄のない文体に秘められたエッセンス。
どんどん惹かれていく。